詐欺行為を行なうファクタリング業者の見分け方 こんな業者にを気を付けよう
近年注目を集めている金融工学「ファクタリング」。売掛債権を第三者であるファクタリング業者に売却して、企業の運転資金などを調達する手法です。注目が集まっている新しい金融サービスは、時として犯罪の手口になることもあります。
仮想通貨しかり、闇金融しかり。お金が関わるような注目されているサービスには、思わぬ落とし穴がある場合もあるのです。ファクタリング業者の中にも、詐欺行為を行なう悪質な業者が存在します。今回は、ファクタリング詐欺業者の見分け方や、注意すべき業者の手口について解説していきます。
詐欺業者の特徴とは?
詐欺業者を見分けるためには、詐欺業者の特徴や手口を知る必要があります。ここでは、代表的な詐欺業者の特徴をまとめていきます。
相場ではありえない手数料でファクタリングに誘い込む
もっとも多い手口が、ありえない相場の手数料で、ファクタリングに誘い込む手法です。例えば、2社間ファクタリングの手数料で、5%以下の場合には要注意です。
2社間ファクタリングは、償還請求権無し(ノンリコース)での債権譲渡がほとんどですが、ファクタリング業者にとってはリスクがもっとも高い取引方法です。そのため、ほとんどのファクタリング業者は、2社間ファクタリングの手数料を高めの15%~30%程度にしてリスクヘッジを取っています。
参照 償還請求権とは
しかし、詐欺業者はそんな手数料の相場を超えて、格安で2社間ファクタリングができるという触れ込みで、利用者を誘い込みます。2社間は、手数料が高いというデメリットを除けば、即日で資金化が可能な場合が多く、また売掛債権を売却した事実を売掛先に通知しなくてもいい(ファクタリング業者からの通知が不要な場合)というメリットが多くあります。
デメリットである2社間ファクタリングの手数料を格安にすれば、ファクタリング知識のあまりない経営者は、1円でも多く利益を得たいと考えるのが当たり前です。そうしてアリジゴクに自ら進んで行くように、詐欺業者の餌食になってしまうのです。
2社間ファクタリングでの格安手数料は、詐欺業者との出会いが高くなる可能性があるため注意が必要です。
参照 不正にファクタリングを利用すると詐欺に該当する可能性も
看板に偽り有り!ホームページとは全く違う契約内容に驚愕
実際に、格安の手数料だと思って面談に行き、通常のファクタリング通りに契約を進めていくまでは真っ当な業者と同じです。しかし契約書には、ホームページに記載されていた手数料とは程遠い、高額な手数料%を請求されるというケースがあります。
まさに「看板に偽り有り」の状態です。2社間ファクタリングは5%!と銘打っていても、後付けで小さく「※売掛先の状況によって変動します。」とホームページに記載するという悪質なことも当たり前のように行ないます。
元々が犯罪集団なのですから、人道的な取引は絶対にしません。利用者=お金としか見られていないのです。
詐欺業者が行なうファクタリングの実態とは?
詐欺業者が行なうファクタリングの中身についてもう少し深堀していきます。詐欺業者の行なうファクタリングにはどのような実態があるのでしょうか?
入金が売掛債権の半額以下になっているケース
ファクタリング契約を終え、ファクタリング業者からの入金を待って、いざ資金調達ができた!と思ったのもつかの間、実際入金された金額は、売掛債権の半額以下(50%以下)しか入金されていなかったというケースです。
経営者は契約書上と全く違う金額が入金されていることに腹を立てて連絡しますが、連絡が付かなかったり、連絡が付いても「担当者が不在で」などとのらりくらりかわされたりしてしまうケースもあります。
そうこうしているうちに、気が付けばファクタリング会社のホームページ自体が閉鎖されて、連絡が取れなくなってしまうというケースもあります。売掛金が入金されて、連絡が取れなくて不審に思って入金しなければ、裁判所からの強制執行などの法的手段を取られることもあるのです。
売掛債権譲渡登記を行なってしまうと、売掛債権の所有者はファクタリング業者に移ります。この法的な穴を突かれた詐欺行為を行なわれるケースも少なくありません。
ファクタリングなのに利息が発生する不思議
経営者にとってファクタリングした売掛債権を、売掛先から入金を待ってファクタリング業者に送金するのは、ファクタリングをする上での原則です。しかし額が大きいことや、経営状態が厳しいと、送金したくなくなるのは当たり前です。
そのちょっとした欲望に負けてしまうと、詐欺業者の思惑通りになってしまうのです。売掛金の入金日に詐欺業者から連絡があり、今日入金しなくても利息を付けて後日入金してくれればいいですよと甘い誘惑をしてくるのです。
しかし少し考えればわかるはずです。ファクタリングをした際に、すでに手数料を支払っているため契約書上に無い金額は支払う必要がありません。ましてファクタリングは融資では無いため利息は発生しません。しかし、送金日をずらすことによって利息を支払うように言われたら、資金繰りが厳しい経営者は喜んで利息を支払ってしまうでしょう。
売掛債権の手数料として数%をすでに支払っているのに、また利息という手数料が上乗せされるのです。詐欺業者の甘い飴は、後になって強烈なムチに代わることを覚えておいてください。
詐欺業者のファクタリング以外での悪質な行動とは?
詐欺業者はファクタリング契約以外でも悪質な行動で資金を搾取しようと企んでいます。
ヤクザ顔負けの脅しや恐喝
詐欺業者は元々が闇金上がりのケースが多いです。2000年初頭の貸金法の改正によって、多くの闇金業者が摘発されました。闇金業者と言えば、怒鳴り散らすような取り立ては当たり前。法外な利息で貸金業をしているのにもかかわらず、まるで貸している側が正義と言わんばかりの勢いで返済を迫ってきます。
摘発された闇金業者の多くが、ファクタリングという新しいビジネスに手を染めているため、脅しや恐喝が当たり前のように、ファクタリング契約の場で起こっているのです。契約書をチェックして手数料の高さなどが原因で、契約を取りやめようものなら、恐喝や脅しに近い手法でファクタリングを強行されてしまうのです。
契約終了しても嫌がらせが続く
契約が終了しても、継続利用を求めて執拗な嫌がらせが続く場合があります。特に2社間ファクタリングは、売掛先に債権譲渡の事実を知られたくない企業が利用するため、その弱みにつけ込んで、売掛先にファクタリングをしたという事実を知らせようとするなど悪質な嫌がらせが続きます。
警察や消費者センターに連絡しても、更に嫌がらせがエスカレートするなど、まさに無法地帯のような状態になっているのです。
詐欺業者を見つけたらすぐに弁護士に相談を
詐欺業者の手口や特徴について解説してきましたが、万が一ファクタリングを申し込んだ業者が詐欺業者だった場合、必ず弁護士に相談しましょう。いきなり警察に駆け込んでも、暴力などを受けていなければ、腰が重い場合があります。
詐欺業者への対応に困ったら、まずは弁護士に相談するようにしてくださいね。