ファクタリング以外の資金調達方法 それぞれのメリットとデメリットとは
資金調達にあたり、経営者が考えることといえば「実際に資金調達するためにはどうすればよいのか?」ということが挙げられます。経営者が抱える1番の課題ともいえる資金調達ですが、どのくらいの選択肢があるのかすら知らない経営者が多いのが現状です。金融機関に頼らざるを得ないと早合点して、融資の申し込みを利用するだけが資金調達ではありません。
今回は、資金調達の方法の選択肢やそれぞれのメリットやデメリットについて詳しく解説していきます。
基本的なファクタリングとは何か?
ファクタリングとは、企業の売掛債権を買い取り、代金回収(債権の管理・回収)をおこなう資金調達方法を指します。
これは、企業の持つ売掛金や受取手形などの売掛債権をファクタリング会社へ手数料を支払って売却する手法です。本来なら、企業でおこなうべき債権の回収業務を、ファクタリング会社に託すことができるのもファクタリングの特徴です。
一般にファクタリングは、2種類あります。
- 償還請求権のあるファクタリング
- 償還請求権のないファクタリング
決済期日に支払不能に陥った場合の請求権が、ファクタリング会社か企業側かに分かれます。
参照 償還請求権とは
売掛債権を資金化する金融工学
ファクタリングは、15世紀のイギリスで行なわれた金融取引が起源となり、19世紀から20世紀初期にアメリカで本格的に開発運用されました。
欧米は海外への輸出が盛んな地域性もあり、貿易商を中心にファクタリングでの取引が浸透し、一般的な資金調達方法として受け入れられるようになったのです。
日本におけるファクタリング
欧米では一般的なファクタリングですが、日本でのファクタリング知名度はまだ低いです。日本のファクタリングは、1970年に導入されました。しかし当時の日本では流通しない理由がありました。
- 現金、手形主義の文化
- 信用取引を重視
ファクタリング会社を通すこと自体が、慎重な取引と現金主義を好む日本人には受け入れにくかったのです。ですがバブル期をさかいに、中小企業などからの需要が増えたことで、一気に民間のファクタリング会社増えてきました。
効果的なファクタリングの活用方法
ファクタリングは、資金繰りの手段として捉えている経営者も多いです。大前提は資金繰りですが、それ以外の目的で他ファクタリングを用いている企業もあります。
経費として計上できる
ファクタリングにかかる手数料の伝票を振替する場合
- 雑損失
- 債券割引料
- 支払い手数料
などが適応可能です。借入金利息と同じ考え方でファクタリングにより発生する手数料は営業外費用の扱いとなります。
参照 ファクタリングの手数料
消費税とファクタリング
売掛債権は、有価証券としての扱いです。これらの譲渡は、非課税取引となる旨が明記されています。ファクタリングに関する費用には消費税は含まれません。ファクタリング会社は、消費税を上乗せして請求することもできません。
ファクタリング以外の資金調達方法9選
資金調達は、ファクタリング以外でも可能です。ファクタリング以外の資金調達方法には次のようなものがあります。
資産売却
売却できる資産があることが前提になります。企業の費用捻出方法の1つが資産の売却です。
- 銀行などからの借り入れが困難
- 融資の審査は通ったが融資の限度額が低い
などのときには、売却可能な利用していない資産の有無を考えることが重要です。
セール&リースバック
セール&リースバックとは、保有している資産、たとえば
- 不動産
- 機械
- 設備機器
などを金融機関やリース会社に売却したのちに、その資産をリース契約で利用し続ける資金調達方法です。資産売却すれば資金調達は可能ですが、企業継続のための場所や機械などを新たに確保しなければなりません。
銀行融資
銀行融資とは、銀行かお金を借り返済していくことです。メリットとして
- ノンバンクと比べると金利が安い
- 多額の融資を受けられる可能性がある
ノンバンクは、銀行から借りたお金をさらに高い金利で貸し出しています。その分、金利は高くなりがちです。その点、銀行は直接お金を貸し出しているぶん金利が抑えられています。
一方、デメリットしては
- 比較的審査が厳しいこと
- 規模額の融資がしてもらえない
- 審査に時間がかかる
銀行は民間の金融機関です。政府系金融機関以上に貸し倒れを嫌います。信用を重視するため、このような人には融資を行なってくれません。
また銀行でもファクタリングも取り扱っています。やはりそれも、民間のファクタリング会社に比べ審査は厳しくなっています。
公的融資
公的融資とは、公的機関が行う融資のことです。公的な機関とは、日本政策金融公庫や地方自治体などがあります。中小企業や個人事業主、これから起業予定の方の支援を目的として設けられている制度です。
起業したばかりでは、企業としての金融取引実績や与信力はほぼありません。民間の金融機関で融資を受けることが非常に難しいというのが実情です。創業時にも比較的融資を受けやすい公的融資は、低金利で借りられるので、負担が少なく長期の借入としても活用できます。
助成金
助成金とは、主に厚生労働省が管掌している雇用に関連した支援金のことです。
雇用保険に加入している事業所で、要件を満たしていれば助成金が支給されます。融資とは異なり、返済が不要なお金です。
助成金の特徴として
- 要件を満たしていれば返済不要の助成金が支給される
- 会社の信用力アップにつながる可能性がある
が挙げられます。雇用保険を財源に助成金が給付されます。雇用保険を使っているので、労働関係の法令に違反がないということが絶対条件です。
助成金が受給できる事業所は、労働関係の法令に違反がなく、厚生労働省が認めた事業所という証といえるのです。
ABL
ABLとは、企業の保有する在庫(原材料・商品)や機械設備、売掛債権等の資産を担保とする融資制度です。担保となる不動産や建物を所有していない企業でも、事業規模に応じた融資を受けることが可能となります。
在庫を多く抱える事業、中古車販売業や高額の機械設備をしている製造業でABLは効果的な資金調達方法です。
売掛債権担保融資
売掛債権担保とは、売掛債権を担保として、融資を受けることです。売掛債権担保融資、売掛債権担保ローンと呼ばれます。売掛債権という点でファクタリングに似ていますが、担保にするには条件があります。
- 売掛先に承諾を得る
- 売掛先に通知をする
- 売掛債権の譲渡を法務局に登記する
これらが完了して初めて担保として融資を依頼できるので、時間と手間はかかります。
借り換え
借り換えとは、高金利ローンをより低金利のローンに組み直すことです。有利な条件で借り入れをし直すことが可能となります。借り換えることで、利息が減り返済負担が軽減されますが、新たに印紙や手数料などの経費もかかることを覚えておいてください。
リスケ
リスケとは、経営改善計画を策定して、返済条件の変更を受け入れてもらうプロセスのことです。このプロセスをリスケジュールと呼び、略してリスケと言われています。経営改善計画がしっかりとしていれば、リスケは実行してもらえますが、1年でリスケ期間を更新してもらう必要があります。
また、更新時には、経営改善計画の80%をクリアしていなければ延長はしてくれません。
ファクタリングのメリットとデメリットを知って資金調達に幅を持とう
ファクタリングは手数料がかかる資金調達方法ですが、メリットは多いです。
- 手続きが早い
- 金利が無い
- 審査対象は売掛先
- 支払い義務がない
- 財政コンサルティングと併用できる
ファクタリングのメリット、デメリットを知ることで資金調達の幅は格段に広がります。ファクタリングを上手く利用して効率のよい資金調達をするのが最善の方法です。